オーストラリアを拠点とする金融クライアントは、ブローカー企業がローン申請を受付から審査、レポートまで管理できる、安全なマルチテナントWebアプリケーションを必要としていました。各ブローカー組織には、独立したワークスペース、設定可能な申請フロー、制御されたアクセス、そして各ローン依頼に紐づく金融情報と関連書類を整理する明確な仕組みが求められていました。
HDWEBSOFTは、SSO、設定可能なローン申請データ収集、AIによるコンテンツ支援、レポートダッシュボードを備えたAI搭載マルチテナント型ローン管理プラットフォームを構築しました。このプラットフォームは、ローン判断における人間のレビューを中心に置きながら、ブローカーの反復的な手作業を減らすことを支援します。
主な機能
ブローカー向けマルチテナントワークスペース
このプラットフォームは、1つのアプリケーション環境内で複数のブローカー企業をサポートします。各テナントは、自社のユーザー、ローン申請設定、借り手情報、書類、レポートビューを管理でき、組織間でデータが露出しないように設計されています。
Microsoft Entra IDによるSSO
ブローカーはMicrosoft Entra IDアカウントでサインインします。これにより、金融チームにとってなじみのあるエンタープライズ認証フローを提供し、MicrosoftのIDサービスをすでに利用しているブローカー組織のアクセス管理を簡素化できます。
設定可能なローン申請データ収集
アプリケーションでは、ブローカーが収集・レビューすべきデータに合わせてローン申請を設定できます。対象には次のような情報が含まれます。
- 個人情報や雇用情報などの申請者情報。
- 融資額、金利、返済条件、信用枠などのローン詳細とファシリティ情報。
- 担保書類や評価情報などのセキュリティ情報。
- 収入、信用履歴、債務対収入比率などの財務分析情報。
- 銀行明細、納税申告書、契約書、その他レビューに必要な証憑書類。
AI支援によるブローカーワークフロー
AI支援レイヤーは、ブローカーが複雑な申請データをより効率的に扱えるよう支援します。反復的なコンテンツ生成、要約ドラフトの作成、リスク指標やローン条件の検討事項など、ブローカーが確認すべき推奨プロンプトの提示を支援できます。
この支援はブローカーの生産性向上を目的としており、専門的な判断を置き換えるものではありません。入力内容の検証、推奨内容の確認、最終的な業務判断は引き続きブローカーが担います。
レポートとポートフォリオダッシュボード
レポートモジュールは、ローン申請データを集約し、業務追跡と意思決定のためのダッシュボードビューを提供します。ブローカーは、月別融資額、ローン目的、ローン種別、担保所在地などのポートフォリオ指標を確認できます。
棒グラフや円グラフなどのインタラクティブな可視化により、提出済み申請全体の傾向を把握しやすくなります。集計されたレポートデータはElasticsearchに保存され、高速な検索と柔軟な分析を支えます。
技術的な課題
複雑な金融・ローン用語
ローン申請には、多くのドメイン固有フィールド、金融定義、条件付きルールが含まれます。チームは、申請者、ファシリティ、担保、返済条件、財務分析、関連証憑をブローカーがどのように扱うかを理解したうえで、それらの業務フローをソフトウェアの挙動に落とし込む必要がありました。
設定可能な申請ロジック
製品は、異なるブローカーワークフローに対応しながらも、固定的な一律フォームにならない必要がありました。多くのデータカテゴリを整理しつつ、ブローカーにとって理解しやすいユーザー体験を保つ柔軟なアプリケーション構造が求められました。
責任範囲を明確にしたAI支援
AIの推奨は生産性を高められますが、金融ワークフローには明確な境界が必要です。プラットフォームは、AI生成コンテンツと推奨プロンプトを意思決定支援として提示し、ブローカーが最終情報を確認、編集、検証できるようにする必要がありました。
テナント別データを横断したレポート
各ブローカー企業には隔離された業務データが必要ですが、同時に信頼性の高いレポートと高性能なダッシュボードも求められました。チームは、テナント境界を弱めることなく、ダッシュボード用にローン申請情報を集計できるデータフローを設計する必要がありました。
ソリューション
頻繁なデモと要件確認
私たちは、頻繁なデモとクライアントとの直接コミュニケーションを通じて、金融ワークフローを早期に明確化しました。これにより、用語を検証し、エッジケースを発見し、誤った前提が高コストになる前にアプリケーションモデルを調整できました。
AI支援分析を活用したドメイン調査
このプロジェクトには専門的な融資・金融用語が多く含まれていたため、私たちはクライアントへの確認とAI支援による調査・要約を組み合わせました。これにより、開発者は不慣れな用語を素早く理解し、より良い質問を準備し、クライアントとより正確にコミュニケーションできました。
モジュール型マルチテナントアーキテクチャ
私たちは、テナントを意識したアクセス制御とデータ境界を中心にプラットフォームを構成しました。ブローカー企業は共通のアプリケーション基盤を共有しながら独立して運用できるため、重複開発を減らし、長期的な製品拡張性を支えます。
実務に沿ったAIワークフロー統合
私たちは、定型的な内容の入力、要約作成、レビューすべきポイントの提案など、ブローカーの反復作業を減らせるタスクにAIレイヤーを統合しました。推奨内容は、ブローカーが承認、修正、却下を判断できる実用的な支援として提示されます。
ダッシュボードに適したデータ集約
私たちは、集計データの保存と検索のためにレポートレイヤーでElasticsearchを使用しました。これにより、応答性の高いダッシュボードを実現し、ローン申請量、ポートフォリオ構成、ローン目的、担保所在地をより明確に把握できます。
ビジネス成果
- 堅牢なブローカー向けローン管理プラットフォーム: クライアントは、ブローカー企業がローン申請データ、書類、AI支援、レポートを1か所で管理できるマルチテナントWebアプリケーションを得ました。
- 反復的な手作業の削減: AI支援による要約、自動入力支援、推奨プロンプトにより、ブローカーは準備作業にかける時間を減らせます。
- 業務可視性の向上: ダッシュボードにより、ブローカーチームはローン申請の実績とポートフォリオ傾向をより構造的に把握できます。
- 要件整合性の向上: 頻繁なデモと確認サイクルにより、複雑なローンロジックを少ない誤解で扱えました。
- ブローカー企業向けの拡張可能な基盤: マルチテナントアーキテクチャにより、複数のブローカー組織をサポートしながらワークスペースを分離できます。
技術スナップショット
このプラットフォームは、エンタープライズバックエンド、モダンなフロントエンド、検索に適したレポートレイヤーを組み合わせています。
- .NET によるコアアプリケーションサービスとローンワークフローロジック。
- Svelte と Astro によるWebアプリケーション体験。
- Microsoft Entra ID によるSSOベースのブローカー認証。
- コンテンツ生成、要約、推奨のための AI支援ワークフロー。
- 集計レポートデータとダッシュボード検索のための Elasticsearch。
まとめ
この事例は、HDWEBSOFTが複雑なブローカーワークフローを、安全で使いやすく拡張可能なWebアプリケーションへ変換する方法を示しています。Webアプリケーション開発、.NET開発、AI統合、fintechソフトウェア開発を組み合わせることで、機密性の高いクライアント情報やプロジェクト情報を公開せずに、ローン申請管理のための実用的なプラットフォームを提供しました。
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